国家の品格を読んで①
ベストセラーとなったこの本ですが、著者の藤原さんは本人は、人々には受け入れられないだろうと思っていました。何故なら民主主義の欠陥を指摘しているからです。しかし人々は支持しました。つまり日本人の中に、どこかで今の市場原理主義拝金主義に疑問を持っているようです。
藤原さんは数学者なので数学の観点から述べている件があります。
数学とは論理です。しかし西洋をはじめとして私達人間は論理に頼り過ぎてしまっていると指摘しています。例えば共産主義は、その最たるもので全ての生産手段を全ての人が共有する。それによって生まれた生産物を皆で共有する。一見、非の打ち所のない理論ですが、北朝鮮を見てもロシアを見ても共産主義が成功しているとは言えません。
それでは実力主義の資本主義がいいのかといえば、徹底した実力主義も危ういとはいないと書かれています。「共産主義が滅び、資本主義が勝利した」と思っている人が多いようですが、共産主義が机上の空論だったので勝ってしまっただけだとされています。しかし資本主義というのは弱肉強食です。例えば、バラで鉛筆を買うよりも1ダース買うほうが安い訳ですが、貧しい人は1ダースも買えないので、結局1ダース買える金持ちが特をします。
すると、どんどん金持ちだけが特をしていき、貧しい人は益々貧しくなるという構図になっています。現にアメリカでは人口の1%の富裕層が90%の冨を占有しているのですから、完全なる格差社会です。本書では、このまま日本もアメリカスタイルに追随していると同じ様な格差が生まれてしまうと書いてあります。