幸田真音著・バイアウトを読んで
幸田真音さんには、以前から興味があって機会があったので バイアウト・企業買収を読みました。
しかし、当初の期待が大きかったのか、私には名作とは思えませんでした。登場人物は村上ファンドの社長を連想させる人物とドンキホーテを思わせる企業と証券会社に勤める女性ディーラー(主人公)の三者で展開していきます。
ドンキホーテと思われる社長と村上ファンドを思わせる人物の接点がチャリティーオークションとしていました。ファンド社長の娘がオークションに出品したものを競るのですが、その際にドンキホーテの社長と競り合っていきます。かつて、村上ファンドの村上さんは「金儲けのどこがいけないんですか」といいました。私は守銭奴は金中心主義という人物設定が曖昧になります。結論においては100万以上でファンド社長が落札するのですが、異常にドンキホーテの社長に敵愾心を持ちます。
その要因が希薄で、ファンド社長が160センチ、180センチ。並ぶと歴然として体格差が明らかになりというような描写がされています。
それで最後の方から読むことにすると、やはり村上ファンドが想定されていたのか、そこまで描かれてはいないのですが、逮捕されるのではないかという様に終わっています。主人公の女性ディーラーはステップアップを目論見、一時はファンドと組んで音楽会社買収を謀るのですが、その音楽会社の社長の娘であった事が分かり、その音楽会社を守っていくかのように終わります。
正直、読後感はすっきりしませんでした。
経済小説は難しいというイメージですが、私の大事にしている因縁果の法則がなかったように思えました。