アンネの日記が私達に教えてくれる事②
嘗て、同じように人種的問題から迫害された人達がいました。彼らはアフリカから首輪を付けて数珠繋ぎにして連行され、船の中では、狭い部屋にすし詰め状態にされたため、その死亡率はかなりのものでした。彼らは部族間ごとに違う言語を使い、文書が残せる状態ではなかった為に、アンネの様な記録がありません。だから、彼らがどういう悲惨な目にあったのかが分からないのです。今、知られている歴史は白人達が書いたものであって、自分たちの歴史でない、とサンコンさんは言っています。
そして、日本ではアイヌです。彼らは文字を持たなかった為に、迫害された記録がありません。ここから分かる事は、記録するという事が如何に大事か、という事です。こういった観念は中国から学ぶ点があります。
日本人は、罪を憎んで人を憎まずといった思想が強く、だから「戦争は憎い」という考えをもつのだと思います。しかし、前段でも述べましたが、何故、戦争が起こったのか。ここから検証して、正さない限り結果は変わりません。
これは、水滸伝で有名な作家の北方謙三さんが言っていたのですが、日本人の場合は、自分たちが受けた屈辱を自分の代で終わらせようとする。それに対して、中国の特に漢民族は、自分の代では無理でも、子供の代で解決すればよいと考えるようです。
つまり、子孫の代で解決する事を考えると、記録を残さなければなりません。先の例で云うと、何故、韓国や中国の人は日本が統治していた時代の事を声高に言って、黒人の人は自分たちの祖先が強制的に連れてこられて、奴隷とされた事に対して反発しないのかというと、記録がないからです。