葛飾
今、中間テストに向けて、弟に勉強を教えています。今回、地理で東京23区の地名を全て覚える(漢字で)事と言われているらしく、それを教えていたら、意外な事態になりました。
皆さんは、「かつしか」という漢字を書くときに、どのように書いているでしょうか。実は、人それぞれだと思います。弟が紙に漢字の練習をしていたのを、ふとみたら「かつ」という字を葛飾区の葛は中がヒだと言うのですが、学校では人で教わっています。
「かつしか」が文字として表記されている最も古い史料は現在のところ、下総国府が都に提出した「養老五年下総国飾郡大嶋郷戸籍」にみえる「飾」です。大嶋郷戸籍と同じ8世紀に編纂された万葉集の中にも「かつしか」が表記されていますが、基本的に音に漢字をあてているだけのようです。
中世になると、千葉県の香取神宮に所蔵されている寛元元年(1243)の古文書には「下西」とあり、応永33年(1426)の奥津家定寄進状に「西庄」、永禄5年(1562)に小田原の北条氏が本田氏に宛てた書状には「西」と記されています。このほかにも、「西」と記した史料が多くあり、中世においては圧倒的に「」の字が用いられています。
こうしてみると、古代から中世にかけて「かつしか」の「かつ」あるいは「かさい」の「か」という漢字の表記は「」とする事例が多いように思えます。江戸時代になると、「かさ井」「笠井」なども使われ、実に様々な表記がなされます。中世や近世においては、当て字なども頻繁に使われており、字よりも音のほうが重要だったようです。
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