日米安保50周年を考える21
有事の最中、案外その時には分からないもので、後になって「あの時が有事だった」と気付くのが常です。
例えば幕末の志士たちは、自分達のことを明治維新の立役者だと思っていた訳ではないでしょう。死ぬか生きるかの日々であり、日本がこれからどうなるのか。一体どんな世の中が出来るのかは、やってみなければ分かりませんでした。現代でさえ、民主党は野党の頃、「民主党に政権をとらせればバラ色の人生」ともいうべき青写真を提示しましたが、最早その通りにならない事が国民に浸透しつつあります。まさに言うは易く行うは難し。民主党のシュミレーションは、もう既に軌道修正が必要です。
そして一番違うのは、やる気の本気さです。幕末の志士達に私心はありません。無私です。金にならない。もっというと命さえ危ういのに、その時、その時の結論を出していきました。司馬遼太郎さんは「新撰組をみて、今の人達は馬鹿なことをしたと思うかも知れないが、当時の人は、自分の置かれた立場で精一杯の事をした」と言っています。その頃から140年以上経った現在。私達は神の視点で当時を見ることができる事を忘れてはいけないという意味なのでしょう。
それにしても、自分達で作ったルール(政治資金規正法)にさえ準じていないのですから、当時の幕末の志士たちが蘇えれば「徳川幕府の中枢より始末に悪い」というかも知れません。或いは二の舞を演じているというか。それ以上の高い評価は与えないと思います。
有事のときにしなければならない事は外部の拡大ではなく、内部の充実です。太平洋戦争(大東亜戦争)の時、陸軍はドイツかぶれとなり海軍はアメリカの影響を受けていた事から両者は当初から啀み合っていました。つまり日本の有事のとき、陸軍と海軍はまるで源平合戦のように内部抗争していました。最大の敗因は陸軍と海軍が不仲で、特に陸軍が勝手な行動(外部の拡大)をとった事に起因すると思っています。
アメリカから押しつけられた憲法、そして天皇制、自衛隊の問題で意見が分裂し、政権が交代した事からアメリカ派、中国派の流れが起きて、結束するという事から遠のき、分派している現状は、何時か来た道に近いのではないかと思います。しかし私達はアメリカ人でもなく中国人でもありません。日本人は日本人であるという共通点をもつべきだと思います。
70年安保闘争の時、学生達は時の佐藤栄作首相を誹謗中傷し続けました。しかし彼等の一番の目標とは上級国家公務員試験に受かり、官僚となって、あわよくば政治家、最終的には総理大臣。つまり自己矛盾していた事になります。そして数年後に社会人になったら、ヘルメットと角棒を捨てて、所謂、民主主義の手先となりました。この矛盾。当時の隠された真実が分からないとTaking a lesson from the past 温故知新が一番必要な時が起きてきません。
需要Demandがあって供給Supplyが起こる。世の中は、そのように仕組まれています。バンクーバー五輪でもフィギュアスケートが注目されていますが、観客の私達は画面を通じて応援するだけでジャッジはできません。しかし審査員も人の子。前回のトリノ五輪で荒川静香選手が点数には寄与しない筈のイナバウアーを披露したら大きな歓声とどよめきが観衆から起こり、これが金メダルに繋がりました。
画面で応援している私達には選手の顔がアップに写ると何故、ここまで厚化粧するのかと思いますが、選手達がアピールAppeal しなければならないのは審査員です。遠くにいる審査員に注目されるようにという心理から厚化粧になるようです。つまり需要という得点を入れる人の為に演技者は供給者となって、これに答えるべく努力する訳です。
この法則は、競技の世界でも起きるべくして起きています。昨日の朗報は一挙に銀と銅のダブルメダルが日本にもたらせたというものでした。これで日本選手は、プレッシャーからいくらか解放され、後に続けとなります。長嶋選手と加藤選手には土踏まずがありません。何故ないのかというと、土踏まずのところにエッジに均等に体重が乗るように筋肉がついて、まるでタコの吸盤のようにスケート靴に密着させる足に作り変わってしまったそうです。正に鍛千日・錬千日の積み重ねです。しかし小沢チルドレン或いは小沢ガールズの中で、これだけの研鑽を積んで出てきた人はいません。
不思議な事に、世が乱れると人々はリーダーを探し出します。しかし、これも需要と供給の問題で、人々がリーダーを探し求めると、それに応えるように人物が現れてきます。戦国の世も織田信長、安定を求めた頃に徳川家康が政権を握り、ちょっと前まであった和魂漢才、和魂洋才を忘れ、洋魂洋才の世相になると、まさに洋魂洋才の権化のような小泉さんが総理になりました。
しかし、悪因悪果で不況になってくる。更にリーマンショックが起こると、その反動でアメリカ離れが起きて、その思想がサイレントマジョリティーとなり、反対の民主党が隆盛し、競争より平等、友愛という党が議席を多くする訳です。しかし、その友愛の精神にも翳りが生じ、どうするかというのが現在の世相ではないでしょうか。
今の日本の政治は、世襲制で生まれたときから別格の、お坊ちゃま、お嬢様の暮らしをしている特権階級のセレブな人々。下々の生活感覚で政治をしてくれなどと求める方が馬鹿というものです。これだけ社保庁が問題になっているのに内部改革は進みません。
でも電卓日本一の重原佐千子(26)さんは、右手に電卓、左手に算盤、しかも話かけられながら計算できます。例えば、こういう人が社保庁に入り、一日でどれだけの仕事ができたか発表すれば、社保庁の実体は直ぐに数値化できることでしょう。
セレブな方の危機意識なんて、おとぎの国の物語で鳩山さんは施政方針演説で命を守りたいということを24回もいいましたが(2010年2月 2日 (火)日米安保50周年を考える③に詳細)政治家のそれは国民を戦争の餌食にさせないことで、その為には徹底的に見えるリスクに備えることです。
北朝鮮は95年から98年が危機の第一期。今が第二期で後継者問題を発端として荒れる可能性があります。それは極めて近年のうちに起こるでしょう。金正日は人工透析を受けているそうなので、権力者が衰退すると箍が緩み、不正蓄財者が増え、その金を国に集めようとしたら、大混乱でインフレが起きているそうです。
しかも情報化の時代ですから、城壁を如何に高くしても電波まで遮ることはできません。隣の韓国は自分達の100倍も良い生活をしていることを知っています。下層部は韓国の併合を臨んでいますが、上層部は、その後明らかになる悪政と、韓国の国民が階級リボンの上層を許すことはないことから、中国からの統合を望み、相変わらずの特権階級で居る事を中国に要求するでしょう。
果たして中国はどうするのか、中国は国政選挙をしたことのない国ですから中国国民の意向など無視できます。中国の躍進の凄まじさを知らせるために北朝鮮を吸収して、韓国をも社会主義体制下に組みいれれば、日本をも手中に納められると考えるかもしれません。
一方、韓国の李明博(イ・ミョンバク)政権は、なんとしても自由主義陣営の一員でいたい。よって李明博(イ・ミョンバク)大統領は日本との連合で中国に対することを考える。無論、これにアメリカが関わってくる。未来の事をシミュレーションをすることでリスクを最低値にするのかが政治家の使命です。
しかも、この北朝鮮は最早時間の問題というところまで来ているのですから、見えるリスクの第一案件です。小火だと思っていたら大火事になる事がありますが、それは風によって巻き起こります。如何なる風が吹くのか。李大統領が日本に連合を求めて来たら、鳩山さんなら韓国にも北朝鮮にも中国にもアメリカにもいい顔をするでしょうが、現実的問題となると一歩も進まなくなります。
そして何よりもアメリカの意向が働きます。嘗てのアメリカ資本主義とソ連共産主義の戦いのように、中国主義とアメリカ主義が本質の背景にあると考えて舵を取らなければならないと思っています。
ここまでは私程度のずぶの素人でも充分に予測可能な範囲です。ところが、ところが「あって良かった日米安保」という尤もな時に鳩山さんはグァム移転大賛成。その根本は、「常時駐留無き日米安保」つまり日本から出て行って、日本が危ういときはウルトラマンのように飛んできてくれという考えの持ち主(もっとも首相になってから封印するとは言っていますが)それこそ、二つ返事で大金を振り込んでくれる、お母様とアメリカの区別もつかないようです。
下々は宇宙人感覚のトップに振り回されては生きていけません。何しろ日本人の平均生涯賃金がグロスで3億に満ちません。これはネットでは1億5千万程度。鳩山さんは母親から毎日50万、年1億8千万ですから。日本人の日本人による日本人の為の政治を考える時、まず最初の日本人という基本のOSを摺り合わせるのに困難という感が否めません。