「初恋」を読んで
「初恋」という小説を読みました。
これは1968年12月10日に起きた三億円事件の実行犯は女子高校生だったという設定の小説です。実は私は三億円犯人は事件の五日後に自殺していたという小説を今月締め切りの原稿用紙500枚物を書いているので気になるところなので読みました。
この事件、そもそもオートバイに乗れなければ話になりません。それが知りあった単車屋の小父さんが教えてくれたという設定で、女子高校生の好きな男が計画を立てたという事になっています。目的は、それまで誰にも認められなかった女子高校生が認めてくれる男の為に三億円を強奪するという事です。
この小説、実話だという体だったので、どのような検証がされているのかという視点で私は読みました。
しかし、四人の行員を乗せた車の真横を女子高校生が真横につけ、左手を真横に伸ばして、車の前にとまり、女子高校生は偽白バイを降りて近寄ってくる。そして、運転手に、「日託銀行の国分寺支店長の巣鴨自宅が爆破された。この車も危ない」と伝えるんですが、その4人が全員、女ではなく男と見ますかね。声は機械か何かで変えたといいますが、逆に機械音のような声を不審に思うのではないでしょうか。それに現代でこそ、そういう声を変える機械もネットか何かで調達できそうなものですが、当時は1968年です。どうも私には信憑性が感じられませんでした。
また、肝心の白バイ隊員の制服や白バイはどうしたのかという事も最後まで曖昧なままでした。小説の発想としては犯人が女子高生だったというのは斬新で奇抜で自由な発想ですが、実話、これが三億円事件の真相とは受け取れませんでした。