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東電と東大

●東電から大学院に6億円の寄付
 原発事故が起きてから、原子力関係の東大教授がやたらとテレビに出るようになった。たいていは現状を追認して「心配ありません」と言うだけなのだが、これには理由がある。東大と東電はズブズブの関係なのだ。
 まずは別表を見て欲しい。

◇寄付講座・寄付研究部門名称/設置期間/寄付総額/寄付者
◆建築環境エネルギー計画学(東京電力)/H21〜23/4000万円/東京電力
◆都市持続再生学/H19〜24/1億5600万円/東京電力を含む14社
ユビキタスパワーネットワーク寄付講座/H20〜25/1億5000万円/東電・JR東日本東芝
核燃料サイクル社会工学/H20〜25/1億5000万円/東京電力
低炭素社会実現のためのエネルギー工学(東京電力)寄付研究ユニット/H22〜25/1億500万円/東京電力

  東大の「寄付講座・寄付研究部門設置調」という資料から、東電が出資している寄付講座を抜粋した。寄付講座とは、企業からの寄付で研究活動を行う研究室のようなもの。他社との共同のものもあるが、東電の寄付金の額を全部足すと、6億100万円に上る。ほとんどが大学院工学系研究科の講座だ。NHKによく登場する東大大学院の関村直人教授が所属しているのが工学系研究である。東電からもらったカネで研究している学者が、東電に不利なことを言えるわけがないのだ。

 東大の工学系の准教授が、匿名を条件にこう明かす。
「寄付講座は、当然、寄付者の意図をくんだ研究内容が多くなる。東電に限らず、大学の理系部門には電力会社による寄付講座がゴマンとあります。研究費がなければ、やりたいこともできないし、原子力関係は特にカネがかかる。だから、電力会社に研究資金を出してもらえる原発推進派でないと偉くなれないのが現実です。第一、原発がなくなれば、自分たちの食いぶちがなくなってしまうのだから、必死で安全性をアピールするのです」

●「関村教授、班目委員長、岡本教授…
 まさに産学一体で、原発事業を推し進めてきたわけだ。
 東電のカネで研究してきた東大教授は、自分の意をくんだ院生を助手にして後を継がせたり、息のかかった学生を東電や、東芝・日立などのプラントメーカーに送り込んできたという。

「関村教授と同様にNHKに頻繁に出演する東大の岡本孝司教授も、『大丈夫です』しか言いませんが、彼は原子力安全委員会の班目春樹委員長が東大工学部教授だった時の教え子です。班目さんは原発推進派の頭目みたいな人ですから、岡本教授が安心を強調するのは当然のこと。みのもんたの『朝ズバッ!』に出ている東大特任教授の諸葛宗男氏も、東電の寄付講座のおかげで、東芝の技術顧問から東大教授に転身したといわれている人ですから、批判なんてできるワケがありません」(前出の准教授)
 諸葛氏が「朝ズバッ!」で「こないだの雨で放射能が洗い流されて奇麗になった」とか「1960年代には世界中で核実験が行われていたから、今よりも大気中にはもっと大量の放射性物質があふれ返っていた」とか牽強付会な自説を披露するのには、そういう背景があるのか。
 中部大学の武田邦彦教授が、ブログでこう暴露して話題になっている。
〈テレビで「福島市の毎時20マイクロシーベルトはレントゲンの30分の1だから心配ない」と発言した当の東大教授が、自分の大学では「換気扇を止めろ」と指示した〉
 東京の放射線量は、福島の200分の1に過ぎないのに、外気が研究室に入ってくることを嫌がる東大教授――。「東大の先生が安心というなら……」と信じてしまう善良な庶民はバカを見ることになる。

日刊ゲンダイ2011年4月7日掲載)

 無用な不安を煽りたいわけではないですが、日本人は特に肩書きに弱くて東大の偉い先生がいうなら大丈夫だと避難しない人が出てくるかも分かりません。実際に孫さんが涙ながらに説得して避難した人もいるくらいです。(詳細は 2011年4月 5日 (火)孫社長、100億円を寄付

 安全な場所でああだ、こうだいうよりも、本当に大丈夫だというならその人自ら福島にいくとか、そこで短期間でも住むとかしなければ結局本当の意味での安心感には繋がらないのではないでしょうか。

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