ギリシャ
ギリシャが何故こうなったのか。一般的には公務員の数が多い、人々が働かないからだと言われています。
しかしですね、2011年のOECD諸国(ヨーロッパ諸国を中心に日・米を含め34 ヶ国の先進国)の平均労働時間で一番長いのがギリシャの2032時間です。
アメリカ 1787時間
イタリア 1774時間
日本 1728時間
ドイツ 1413時間
オランダ 1379時間
OECD以外では韓国とメキシコだけがギリシャよりも労働時間が長い。つまりギリシャ人は別に怠けている訳ではない。よくギリシャ人は日中、昼寝をしてしまうといいますが、それは暑いからで熱中症で倒れてしまうほど暑い昼間は休んで夜は働いている訳ですね。
それから公務員の数が多いという話。これは政権交代する度に人を雇うからだそうですが、労働人口の25% で日本の五倍。でも北欧は3割です。多い事は多いのですが、多すぎるという数でもありません。
では何がいけないのか、三橋さんは一人あたりのGDPに着目しました。ドイツの一人辺りGDPが4万2千ドルくらい。日本が45000円。対してギリシャ2万ドル。ギリシャ人は二倍働かないと日本やドイツと同じ生産性が得られない。つまり一時間当たりの所得、付加価値がギリシャはドイツや日本の半分だから労働時間はドイツより600時間長くても生産力が追いつかない。
これは国内で戦いがあり安定していなかったという歴史背景もありますが、何と言っても土地が乾いている。つまり水がなかなかふんだんではなく、不毛の地なので農産業だけでも、かなり不利です。そしてギリシャ人は消費が大好きでギリシャは基本的に車社会なので車を沢山買います。どこの車をかうのかというと、ドイツ車が半分くらい。ついでイタリア車、日本車、現代自動車なんかもあるそうです。
普通の国でそんな事をやっていたら経常収支が赤字化して為替レートが下落する。でも為替レートが変わらなかった。ユーロに加盟していたからです。暴落していれば100万でドイツ車が買えたのに為替レートが半分だと200万。これでは買えない、どうするか。車の会社を作ってドイツから技術指導をうけて民族資本の国民車を作ろう。政府も外国産の自動車をギリシャで売れないように関税を100%かけようとなれば100万のドイツ車が400万なので庶民には買えない。国内産の自動車を買う。国内の企業によって成長していく。やがて輸出していくという事も有り得たかもしれませんが、ユーロに加盟していたので関税はつけられない。そして前述の通り為替レートが変わらないのでギリシャ人は自動車をつくるという発想に至らなかった。こうしたメカニズムでスペイン、ポルトガルもイタリアも似た方向に向かっているというお話です。
『三橋貴明のギリシャ紀行(後編)①』三橋貴明 AJER2012.10.23
http://www.youtube.com/watch?v=7824Ar8qJkQ
http://www.youtube.com/watch?v=B1Brp4qsEqo