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川口マーン惠美著「日本はもうドイツに学ばない」④

 『ALWAYS 三丁目の夕日』は有名な映画なので知っている人も多いと思いますが、1955年から1964年までの「夕日町三丁目」を舞台で、昭和三十年代の日本が上り坂にいた頃を描いた作品です。

 さて、ドイツでもこの「三丁目の夕日」現象が起きていて、「オスタルギー」(オスト=東+ノスタルギー=ノスタルジー)の合成語で古き良き東ドイツ時代を懐かしむ事を言います。ドイツが統一されてから日が経ちましたが、未だに東西ドイツの間には経済格差があります。

 共産主義の国家というと、現在の北朝鮮をイメージしますが、東ドイツはそこまで酷くはなく、ある意味、完全雇用が実現していました。人の幸不幸は相対的なものです。みんなが貧乏だと自分の貧しさはあまり気にならないものです。大学教授も工場で働く人もみんな同じ団地に住んでいれば格差は感じません。今の貧しさが当時よりは豊かだったとしても、差を感じる事で自らの貧しさが気になってしまう。その時、人は昔の方が良かったと郷愁にかられる訳ですね。

 ドイツでは26%が貧困層にあり、しかも充分な教育を受けておらず、経済の格差=教育の格差となっています。それは教育方法に最初から差があって10才の時からホワイトカラーとブルーカラーに分けて教育する。それが階級社会の布石なのだと書かれています。

 日本でも格差が叫ばれて久しいですが、アメリカや中国と比べてしまうとフラットに近い状態です。一億総中流社会と嘗てはいわれましたが、中間層が厚いと文化が花開きますし社会が安定します。何よりみんなで種を植えて、みんなで収穫して食べる。そうやって生きてきた日本人にはその方が性に合っている気がします。 

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