新幹線は世界四バカ
今となっては何の事?という感じですが、 昭和30年代当時、新幹線は「世界四バカ」になるのではないか、という意見が大勢を占めていたそうです。
そもそも世界三バカというのがあって、 エジプトのピラミッド、中国の万里の長城、日本の戦艦の大和は金と労力ばかりかかって大きな図体をしながら役に立たないことを揶揄する言葉です。これは鉄道ファンとして知られる作家の阿川弘之が、新幹線も同様で建設資金の回収に苦しむだけで「世界四バカ」になるのではないかと新聞紙面で発言した事からつけられました。
何故かというと当時は航空機や自動車の発展が予測されていたために最高速度が低く小回りもきかない鉄道は「過去の文明の遺物」という見方が大勢で鉄道の高速化は時代錯誤、金を使うなら航空機などに使えと言われていた訳ですね。
そんな時代に所得倍増計画をぶちあげた池田勇人首相は1964年、3800億円をも投じて東海道新幹線を誕生させました。現在、歳入との比率で言うと大体10%も新幹線に注ぎ込んだ事になります。今となっては批判する人なんて居ませんが、当時はどうだったかは推して知るべし。
結果、この新幹線網は日本の動脈となり、国交省によると新幹線の2010年度における1日平均輸送人員は88万8882人に対して航空機は約3万人と移動量は29倍。事ほどさように未来予測とは専門家でも外すほど難しいものですが、国のトップに先見の明があれば、という事ですね。