斎藤元章著 エクサスケールの衝撃⑥ 日本にしかなし得ない新世界の創造
バックナンバー
斎藤元章著 エクサスケールの衝撃① スパコンによる新世界の幕開け
今やアメリカを始め各国が次世代コンピュータ開発に国家を上げ心血を注ぎ邁進している。斎藤氏はエクサスケールによってこれまで書いてきたことを実現し、現代では及びもつかない新たな世界を構築する為には、日本人が先んじてエクサスケールコンピューターを開発しなくてはいけないと断言している。
それは日本人の持つ道徳観念と関係している。エクサスケールコンピューティングは新世界を創造するための万能な機械では決してない。あくまでも人類が追い求めていた理想を追求するための道具であり、それが正しい方向に使われなければ人類は破滅に向かっていくといっても過言ではないのだ。
例えばこの技術が中国やアメリカ、ヨーロッパに渡ったとして一体に何に使われるだろうか。先ず間違いなく軍事目的に利用され今より遥かに強大で恐ろしい威力を持つ兵器が開発されることになるだろう。或いは食糧が大量に生産できるようになったらその圧倒的な物量を持ってして他国の食糧安全保障を破壊し属国化することも可能である。もしくはクローン技術によって大量の奴隷が生み出されるかもしれない。
現在においても中国や北朝鮮、ロシア、ある意味でアメリカといった他国を支配しようとする国はただある。自己の利益しか追求しない国に技術が渡れば「エネルギーがフリー」「衣食住がフリー」「不労・不老の実現」など臨むべくもないだろう。これは日本にしかなし得ない。いや日本が実現しなくてはならないのである。
更に日本にはこれを実現する力と実績を持ちあせており、尚かつ技術を応用する能力も世界屈指である。グリーン500で1~3位を日本のスパコンが独占したことを鑑みても、日本には優秀な研究者、開発者が数多く存在し、膨大なノウハウを蓄積している中小企業や町工場によって革新的な技術や製品が日夜開発されている。
万全な体制で開発に臨むことができ貧富の差もそれほど開いておらず階級社会でもない日本国ならば、和の精神持ち合わせ気高き心を失わない日本人ならばエクサスケールを実現し自国の繁栄と共に世界全体の幸福を必ずや達成出来る。
あらゆる観点から考えても日本が最もエクサスケールを平和に利用できる可能性が高いと私は確信している。