遅かった南シナ海への米軍派遣
米、中国の人工島12カイリ内に軍派遣へ 南シナ海
オバマ米政権が、中国が南シナ海で埋め立てた人工島から、国際法で領海とされる12カイリ(約22キロ)内に、米軍の艦船または航空機を近く派遣する決断をしたことがわかった。複数の米政府関係筋が明らかにした。自国の領海という中国の主張を認めず、航行の自由を行動で示す狙いがある。派遣の時期や場所などを最終調整しているが、中国政府が反発するのは必至で、中国側の対応次第では米中関係が緊張する可能性がある。
米軍が艦船か航空機を派遣する予定なのは、南シナ海の南沙(スプラトリー)諸島。中国以外に、フィリピンやベトナムが領有権を主張する島や岩礁が点在する。この海域では、中国が昨年から岩礁など7カ所を急ピッチで埋め立て、複数の3千メートル級の滑走路や港湾、ビルなどの建設を進めてきた。軍事拠点化が進み、フィリピンなど周辺国から懸念が高まっていた。
米政府当局者によると、人工島から12カイリ内を中国に許可を求めないで通過し、誰もが自由に行き来できることを示すという。複数の米政府関係筋は朝日新聞に「(政権は)決断した。あとは時期の問題だ」と語った。
当然の決断だが実行に移すのが遅すぎた。既に中国の人工島は完成しており3000メートル級の滑走路は三箇所も造られている。本来であれば中国がここまで膨脹する前に米軍を派遣し中国を牽制する必要があった。オバマ大統領は弱腰で知られていてクリミア半島をロシアが併合したときも、具体的な動きが無かったことから完全に中国に嘗められているようだ。実際にオバマ大統領が早急に決断していればここまで南シナ海が中国の影響を受ける事もなかっただろう。
南シナ海同様に東シナ海でも中国は影響を及ぼし始めている。既に今年に入り12基のガス田建設が為され合計で16基となった。東シナ海でのガス田開発は日本と中国の領海が重なり合っており、2008年6月に白樺ガス田を共同開発で合意し、お互いが勝手に開発を進めないということで約束が取り交わされていた。しかし2008年12月尖閣に突如、領海侵犯を行い2010年に海上保安庁の巡視船に突撃してからは交渉を中断し、中国は一方的な主張で日本の領海内でガス田開発を続けていて、既にガス田から上海にエネルギーが送られ消費されている。中国はエネルギー源の66%が石炭なので天然ガスや石油を増やそうという目論見があるが、石油は輸入ルート(南シナ海)をアメリカ海軍が握っているので中国自身のルートでエネルギーを確立したいという動きだ。
またこのガス田施設にレーダーやヘリコプター、無人機の洋上基地が作られれば日本への影響は計り知れない。東シナ海に航空管制レーダーが設置されれば日本国内の戦闘機の動きは全て筒抜け、中国海軍の活動範囲は大幅に広がりこれまで以上の領海侵犯や領空侵犯が頻発するのは間違いなく、遂には武力行使に乗り出す危険性が高まる。既に中国の侵略活動は尖閣諸島、東シナ海を含め日本人の生命、財産を脅かす明確な驚異であることを先ず認識すべきだ。その上でこの驚異から如何に日本を守るか真剣に考えなくてはならない。何にせよ中国は経済が失速しよりいっそう侵略活動を強める動きが出てくる。米軍、アジア諸国と日本が協調し如何に中国を押さえ込めるかが重要だ。