スターの誕生で③
いてもいなくても変わらない。そんなトップにトップの価値はありません。
更に福井前日銀総裁は、村上世彰(証取法違反容疑で逮捕)が率いていた村上ファンドに1000万円を投資していました。投資したのは日銀副総裁を辞任後、富士通総研の理事長を務めていた時期で「村上氏の志を激励」する目的と話しました。同氏が同ファンドへ投資したのは総裁就任前ですが、就任後に「解約」手続きをすることで利益が確定するため、これが「利殖行為」にあたるとして道義的責任を問題視、辞任を要求するという問題があったのも記憶に新しい出来事です。
これが経済大国2位の国・日本の経済界のトップなのですから開いた口が塞がりません。
それに対して、同時期に日銀総裁と同じ地位の連邦準備制度理事会(FRB)議長に就任していたアラン・グリーンスパン前議長は1987年から2006年まで議長を務めました。就任直後の1987年に起きたブラックマンデーを巧みな金融政策で乗り切り、1990年代の米国経済の黄金時代を招来したため、長期にわたって信任され、米国マスコミも彼の手腕を絶賛し、「マエストロ」(巨匠、名指揮者を意味するイタリア語)の称号を与えています。
両者の地位は同じですが、経済大国1位と2位でこんなにも経済界のトップの中身が違います。これでは日本が失われた10年と呼ばれているほどの長期大不況から抜け出せないのも、自明の理なのかも知れません。