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『私が子どもだったころ』を見て

これは現在NHKで放送していますが、オリジナルはBSテレビで2年ほど前に放映し、人気を博したので、綜合テレビで再放送しています。

今回は知の巨人、作家・荒俣宏さんでした。

冒頭、荒俣さんがレコードを聴きながら涙を流すシーンがありました。
美空ひばりが歌った『明治一代女』です。

1♪浮いた浮いたと浜町河岸(はまちょうがし)に、浮かれやなぎの恥ずかしや、人目忍んで小舟を出せば、すねた夜風が、邪魔をする。

2♪恨みますまい この世のことは、仕掛け花火の似た命、思い出散るまに舞台が変わる。まして女は、尚更に。

3♪意地も人情も、浮き世にゃ勝てぬ、みんな儚い水の泡沫(あわ)泣いちゃならぬと言いつつ、泣いて 月に崩れる影法師。

これは昭和10年の歌で、昭和12年産まれの美空さんがカバーした曲です。
荒俣さんが、特に好きな詞は2番の
♪恨みますまい この世のことは、仕掛け花火の似た命で
という部分です。これが人生観にもなっているそうです。「幼少時に聴いた歌は忘れられない」と言っていました。

私は、将来、昭和という年代に拘って小説を書きたいと思っています。

私は、現在の詞より、昔の詞の方が情感があって好きです。きっと、当時の人の方が本当の日本人だったような気がするからかも知れません。言い表し方も、昔すぎると分かりませんが、昭和の戦後くらいは分かりたいと思っています。

『明治一代女』は『YouTube』で聴けます。
美空ひばりVer.はhttp://www.youtube.com/watch?v=nZtFOKF527o&feature=related

由紀さおりVer.はhttp://www.youtube.com/watch?v=RWJF44gZEJM       

個人的には、由紀さおりVer.が好みです。
でも、これは好き好きだと思います。

さて、♪恨みますまい この世のことは、仕掛け花火の似た命ですが、
この人生観は、死と、隣り合わせの、その年代だけが知る人生観です。
当時、煙草のしんせい(今はない)が40円、ゴールデンバット(今はない)30円
しかし、一箱が買えないので六本 5円でバラ売りするシーンがありました。

人生、一寸先は闇。夏になれば川にながされて死ぬ。就職しても解雇されて音信不通はザラで、読めない時代であったとか。 貸本屋という制度があって、漫画とは違い、左に挿絵があって、右側が文字になっているものが一日5円、二日借りて10円でした。6歳の荒俣少年は賢くて、もう字が読めました。少年ケニアを読んで、恐竜がいた事を知って衝撃をうけ、少年ケニアをバイブルのように読みふけります。

どうしても、この本が欲しくなってしまい、中々返すことが出来なくなると、隠し続けますが、貸本屋が怒鳴り込んできます。少年は無くしたと虚言します。落として無くしたという荒俣少年、母親と二人で、落としたという道すがらを探索しますが、当然、出てきません。仕方なく、貸本屋には謝罪して新品の本を買うことで弁済します。

しかし、その後のシーンでは 無くしたはずの本を、隠していたところから、出して小川に流します。時間の経過は分かりませんが、恐らくは身の丈が大きくなるように、少年ケニアから脱却した頃だったのでしょう。やはり罪悪感から持っていてはいけないと思ったのでしょうか。

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