一日一ミリ
颯爽と見えても、正に私物化していた（国民の誰も、そして小泉さん以外の議員には、そもそも その意がなかった）法案よりも、動向を見る麻生さんの方が余程、安心だと書きました。
さて、ナチス・ドイツと言えば、ヒトラーです。
ゲルマン民族を誇りに思うのは良いのですが、その中でも特にアーリア人を優秀としました。当時、ユダヤ人を恨んでいるドイツ国民は特には居ませんでした。しかし、突然、ヒトラーは「ユダヤ人憎し」発言しだします。
これに対し、ドイツ国民は沈黙しました。意味が分からなかったからです。本来、政治というものは仲裁役ですから、世の中で起きている争いの仲裁を双方に寄らず、公平に裁くところに価値があります。それをヒトラー個人の個人的思考のユダヤ人嫌いを国家的レベルに引き揚げた訳ですが、当時はマスメディアが発達していません。
個人的思考を語る為政者はいないと信じていたところの暴挙ですから、世論は静まり返りました。今で言えば、金融業、即ち銀行・保険・証券業務をユダヤ人が取り仕切っていました。彼らは日本人と違い、祖国もなく土地を持てません。故に、不動産ではなく、いつでも持っていける動産を好みました。
それには、何処に行っても、その国の紙幣と変えられる金（きん）が必要です。それでシェイクスピアの書いたヴェニスの商人（ユダヤ人）につらなる金貸し業を拡大していきました。第一次大戦後、ドイツは猛烈なインフレになりました。インフレで儲かるのは金融業です。金融とは貸した金が効率よく戻ってくることです。故にインフレの裏では必ず、金融業が潤います。
それは日本のバブルが実証しています。私はドイツ人ではないので想像ですが、例えばトヨタが最高益と聞くと、トヨタは偉いと日本人なら思います。豊田佐吉が「私は自動織機でお国に仕えた。お前は車で、お国に尽くせ｣と豊田喜一郎（長男）に言い、その通り、トヨタは世界のトヨタになり、ビッグスリー（GM・フォード・クライスラー）を抜いて、不況で騒がれませんが今や世界一です。
嘗て村上ファンドの村上さんは「金儲け、いけませんか」と言いましたが、人々の共感は得られず、寧ろバッシングを受けました。それは左にある金を右に置いて、その金に粉をかけたり、塩を掛けるような行為で増やしていく錬金術に眉を潜めたからでした。
今の時代であっても、そうです。まして今から８０年前に村上ファンドのような行為で、リッチになっていくユダヤ人をアーリア人が良しとする事はサイレントマジョリティー（silent majority）大衆の声なき声があったのかも知れません。
それを代弁したヒトラーに人々は狂乱乱舞するのですが、それはヒトラーの計算ではなく、ヒトラーの個人的好き嫌いが世に喧伝されていったからです。ドイツは土地があるのに、第一次大戦後、賠償金、今の日本で換算すれば４３兆円近くの借財を被り、その時、ドイツ国債の引受人（個人投資家）がユダヤ人でした。その後、ハイパーインフレが起きて国債価格も上がっていきました。
北朝鮮や中国が国内を団結させるために日本を常にターゲットにする手法で、ユダヤ人は奈落の底へ落とされました。ここでの教訓は、金が出来ても、軍隊という防衛機能がないと、ヒトラー一人の台頭で意味をなさなくなるということです。
日本のバブル崩壊の頃に私は産まれ、今年成人になりますが、この間、ずっと不況が続きました。一方、アメリカは１００年に一度の大恐慌なのに、日本のようにならない最大の要因は世界のドルに見あう世界一の軍隊を持っていて、北朝鮮であっても、国連より怖いアメリカと直接交渉したいからです。
プライドの両巨頭である中国もソ連も、それほどアメリカに媚びて、俺たちの顔は立てないのかと言えないのは、軍事力はあっても、中国の元も ロシアのルーブルも世界の互換紙幣、ＯＳ紙幣ではないからです。兎も角、決め付けたヒトラーのユダヤ人対策で、その後、ドイツは東西に別れ、統一したものの、ドイツ企業は以前より生気がありません。たった一人の独裁者で、ドイツは大き過ぎる代償を、その後も背負っています。
独裁者ほど怖い者はないと知っているのに、颯爽と決断すると民衆は酔いしれます。マスコミもブレると書き立てますが、太平洋戦争の時、一紙も時の政府、陸海軍に盾を突いた新聞社はありませんでした。ブレる方が安心なのです。
何を言うのかと言いたい人がいるでしょうが、貴方は今までぶれたことはありませんか。郵政民営化のとき、賛成に一票を投じて次は民主党。それは既にぶれていますよ。
『座して国家百年の計を立て、千里の外に勝敗を決す』人ならば兎も角、そうでないのなら、凡人と認め、そして多いにブレる。私は、子供達に多いにブレる教育をすべきだと思っています。
しかし、一日、一ミリ多いにぶれていると１０年で３メートル６５センチもブレる大木になります。それでもぶれていると、今度はしっかりしてきて、辛抱が心棒を産むようになります。政治も経済も、大きく成長する事はありません、一日一ミリ確実に成長していけば良くなります。
