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<作家への道>

 NHKで「刑事の現場Ⅱリミット」というドラマをやっています。武田鉄矢さん主演です。私は、作家を目指しているので、筋、つまりストーリーが気になります。

 武田鉄矢さん演じる刑事(以下、刑事)は、18年前にフィアンセを殺されます。その犯人が刑期を終え、出所してきます。犯人の男(以下、犯人)は出所した途端、自分を虐めた人物に復讐する為に殺していきます。

 18年というと、私が2歳くらいから刑務所暮らしです。当時ケータイは、まだ一般的ではなく高嶺の花だった時代です。しかし、出所した犯人は、そのケータイを非通知に出来たり、刑事の部下の恋人と、偶然にあった墓参りの映像しかなかったのですが、その後、その女性を通して、その女性の恋人(刑事の部下)の上司である刑事のケータイに非通知で電話を架けてきます。

 古畑任三郎なら、或いは杉下右京なら「おかしいですね。出所した数日後に非通知の掛け方を知ったのでしょう。確かに184と打てば良い訳ですが、それを知っていたとは思えません」というでしょう。

 それに、184とやって本当に非通知になるかどうか犯人は考えなかったのでしょうか。私の家には2台ケータイがあるので、実験してみました。そして実際になる事が分かりました。しかし18年前の世相から非通知という概念は無いはずです。万が一、裏ルートで携帯電話を手に入れて、非通知設定を知ったとしても、本当にそうなのか確かめなかったのでしょうか。

 しかも、犯人は嘗ての恋人の息子を、嘗て自分が住んでいたマンションの水風呂の中に入れます。しかし、ドラマでは管理人が鍵で開けようとすると、既に明いていました。まるで合い鍵を作って開けたようになっていました。しかも都合良く、そこは空き部屋でした。もっと言えば、どうやってそこまで子供を連れて行ったのか。タクシーだったら不審に思うでしょう。レンタカーを借りるような背景も考えられません。

 口で言うのは簡単ですが、実際にやってみると、緻密な計画が必要です。もっと言うと、こんな計画を成し遂げるスーパーマンを一体、誰が虐めたのでしょう。作家としては、どうして、出所したばかりの18年間も空白の男が、そのような芸当が出来るのか。その『因・縁・果』に頭を悩ますところなのですが、その部分がカットされています。

 又、逆探の心配をしていますが、18年前に逆探されるという事を知っていたのでしょうか。しかも、この犯人は物心ついた時から虐待を受け、いじめられっ子というせっていです。しかしある時から加害者に転じます。何もしなくても、いじめられっ子になる事はありますが、加害者はそれなりの技量が必要になります。

 特に、この犯人に限って言えば、生まれ付いての自己中で、そういう人は虐めっ子になっても、いじめられっ子になるのかなという疑問さえ感じます。まあ、能書き行ってないで、お前が作家になって売れてみろと言われれば、それまでですが、そういうところが気になるのが、私の悪い癖のようです。

 NHKの公式サイトの掲示板に、以前も不自然のところがあったので投稿したのですが、そこは否定的見解はカットするらしく、掲載されるコメントは良かったというものが殆どです。ドラマ自体は秀逸だと思うのですが、不自然は不自然です。

 今は個人情報保護法もありますし、18年間もシャバから離れていた人が、現代のケータイを使いこなし、嘗ての恋人を探し出し、その息子を拉致し、且つ、その女性の自宅に電話してくる。結婚して居るのですから、付き合う前は山田花子でも、結婚したら田所花子になっているかも知れません。電話帳に載る名前は、夫の田所太郎である可能性の方が高いでしょう。つまり、山田花子は田所一郎の妻であるという事が、どうして分かるのか。

 或いは拉致した息子が自宅の電話番号をしらせたとすれば、理解が出来ますが、そうであれば、だうやって、田所花子の現住所を知り得たのか最低限必要になると思うのですが、推理作家を目指している訳ではないのですが、Aという文脈とBという文脈の接続詞こそが推理小説の真骨頂です。

 なーるほど犯人は、そこに目をつけ、刑事は、そのトリックを、そう言った観点で見抜くのかと思わず唸らせる。そこに醍醐味があるのではないでしょうか。今回の刑事ドラマは、純文学っぽく作りたかったのか。BGMはキリスト教的色彩の濃い私感)ブルガリアン・ヴォイスと言われているものが流れていました。私は、純文学と推理小説は、最も遠い関係にあると思います。

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