サーチュイン遺伝子⑨
日本の歴史上もっともサーチュイン遺伝子が働いた時代、それが戦中戦後です。この時代の人は否応なしにサーチュイン遺伝子が働いた筈です。
問題は、その頃にお母さんのお腹にいた子供も極端な言い方をすればお腹にいるときからサーチュイン遺伝子が働いていた可能性があります。
するとどういう問題が生じてくるか。食べ物が体内にはいるからそれに応じてインスリンが出るわけで、その食べ物がないのですからインスリンは出ません。ところが日本はその後、神武、岩戸、いざなぎ景気で20年間も高度成長をしました。世界最下位の劣等国から、たった10年で最早戦後ではないと言わしめ次の10年で世界第二位に躍進しました。
そこで到来したのが飽食の時代です。その飽食の時代を最も感受したのが団塊の世代で昭和で言うと昭和23、24、25年、西暦で言うと1948、49、50年生まれの人たちで所謂ベビーブームです。この頃から給食が始まりました、それは今の給食よりもかなり粗悪なもので、脱脂粉乳と言われたものが出ていましたが、それでも当時の食文化に比べれば大した御馳走でした。
それ以前は給食制度はなく学校にいっても弁当を持っていけない子供達はその時間校庭にでて水で餓えを凌いだといいます。団塊の世代は小学生の頃或いは中学生の頃から”日本人は米をくって馬鹿になった”というキャンペーンが引かれ、米からパンへ、魚から肉へ、味噌汁から牛乳の時代へと変わっていきました。
こうなると長い腸が問題を起こします。日本人の長い腸いわゆる胴長短足は穀物を栄養に変えるための人体システムで長い腸と少ないインスリンでエネルギーになるよう長年進化してきたのに、いきなり牛乳と肉とパンで長い腸が禍して糖尿病と大腸癌が突出しているのは、そのせいだと言われています。
ところで現代は不況ですが飢餓を感じる人はいません。つまり相も変わらず飽食の時代で、それが証拠に現代の日本人の平均身長が戦後の平均身長と比較すると10センチ以上伸びています。これは人類の進化過程からいうと驚嘆すべき数字です。しかし増え続ける人口という問題がクローズアップされてきますと大きく進化すること自体が良しと言えるのかという問題が生じてきます。
結婚の条件として”三高”と言われた呼ばれた時代がありました。高学歴・高収入・高身長というものです。しかし、その高学歴神話も壊れてきています。テレビを席巻して大金持ちのお笑いタレントは高学歴という訳ではありません。高身長も例えば日本人なら一度は聞いたことがあるキムタクこと木村拓哉さんも高身長ではありません。高収入にこしたことはありませんが、それは必ずしも高学歴と関連するという訳にはいかなくなりました。
今回の原発事故も偏差値の高い学校の出でなければ原子力行政には関わり合うことは出来ません。原子力のメーカーは日立、東芝といった重電企業ですが、原子力部門に配属されるのは所謂エリート達です。最早、原子力そのものに対する嫌悪感が広まり九州電力では九電をあげてやらせ工作をしている始末。日本の価値観はこれからますます変わっていくと思っています。