砂の器①
テレビ朝日系列で9月10日、11日と2夜連続で放送された砂の器。本当は3/12、13に放送予定だったそうですが、東日本大震災が発生した事で延期になったそうです。
今回で何と5回目のテレビドラマ化だそうで清張作品の中でも名作の呼び声が高い作品です。
それだけにキャストの力の入れようは並大抵ではありません。
1974年制作の松竹映画では加藤剛、丹波哲郎、森田健作(現在・千葉県知事)島田陽子、ああ忘れてはならない本浦千代吉役の加藤嘉(よし)さん。特に、この映画版は松本清張自身も「小説では絶対に表現できない」と高く評価しています。そして、この映画によって「ライ病予防法」(⇒患者である事が分かると強制隔離、強制消毒、外出禁止など他の人と隔離する事)という法律が、社会的差別を助長したという地裁判決に対して、小泉元首相が映画の砂の器を見ているからハンセン病の事はよく知っているとして政府の控訴をとりやめたほどです。砂の器は我は非情かと言った人の鬼の目にも涙をあたえた作品で、これが社会派ミステリーの真骨頂と言われる所以であります。
TBSでも2004年に砂の器をテレビドラマ化しました。今やハリウッドスターの渡辺謙さんが老練な刑事役。本浦秀夫、後の和賀英良がスマップの中居正広さんでした。和賀英良が若き日の大岡越前守の加藤剛さんから仲居さん。原作での事件の設定は昭和30年代、今から60年近く前なのですが、このドラマでは現代版になっていたので、そこは私としては変更してほしくないところでした。
ただ主題歌はドリカムの「やさしいキスをして」
http://www.youtube.com/watch?v=TaUNEgUd7uU
で良い曲だなと思って見ていました。
ドラマの内容ですが、肝心な骨格といいますか、物語の核の部分がハンセン病の話ではありませんでした。亡くなった原田芳雄さんが和賀(秀夫)の父・本浦千代吉役で集落の中で唯一ダム工事の住民投票に賛成票を投じたという理由で村八分にされ、妻が誰にも助けてもらえないまま病死、怒った千代吉が村中の家に放火、30人を殺害したという設定で、その為に息子と共に逃げるというものでした。逃げている途中で学校の側を通った時、秀夫が小学校には入れないだろうと思いながら見ている先には子供達の遊ぶ声、そして聞こえてくるピアニカの音。千代吉は学校へ忍び込みピアニカを一台盗みます。それでピアノの才能に火がつくという感じなんですが、それでピアノが出来るようになるかねぇと思いました。
原作では前衛作曲家(ミュージック・コンクレートや電子音楽を手がける音楽家)なんですね、でも映画版はピアニスト兼作曲家だったのでそちらに合わせたのでしょうけど、ちょっとこれは無理がある設定だと感じました。そういえばドラマの最後は秀夫がピアニカを吹きながら終わりましたっけ、そんな印象があります。違っていたらごめんなさい。
この記事を読んで良かったと思った方は投票してくださると嬉しいです。