23分間の奇跡

　歌手の宇多田ヒカルさんがツイッターで小沢新党について「ついに政党の名前にもキラキラネームきたか…。」と呟きました。キラキラネームとは当て字や難解な漢字を使った非常にユニークな子供の名前を指します。

このツイートに対して多くのフォロアーが反応し、ブログなどでも「キラキラネームではないけど厚顔無恥」「国民をバカにしたネーミング」など多数の意見が書き込まれ、盛り上がりを見せているそうです。

　言い得て妙な言葉というのは時にコンセンサスを得ると流行する訳ですが、この「政党の名前にもキラキラネーム」というのは国民が感じているサイレントマジョリティーを体現した言葉だなと思いました。

　因みにですね、小沢さんが前に所属していらした民主党の政権交代時のマニフェストは”民主党は「国民の生活が第一」と考えます”というものでした。そういって政権をとった筈なんですが、ここにきて言い出してきた事は増税。それに反対する「国民の生活が第一党」の庶民の味方・小沢という構図にしたいのでしょうが、大店舗法を改悪して商店街を潰し、地震の時は放射能が怖いからと逃げる算段をした事を元奥さんに暴露され、『盟友』の田中真紀子さんから「信用できない」と袖にされる。言行不一致の人ですが、名前だけは相変わらず「国民の生活が第一」としてアピールする。いや、国民をマインドコントロールしたいようです。

　マインドコントロールといえば、 実話ではないのですが、ジェームズ・クラベル が書いた『23分間の奇跡』という短編小説があります。

　作者のジェームズ・クラベルは1924年生まれで第二次世界大戦では王立砲兵隊に加わり1940年にマレー半島に従軍し、日本軍の戦争捕虜となり、戦後、有名な映画「大脱走」の脚本を書いた人です。下記は概要です。

子供達の集まる教室に、それまでの教師の代わりに新任の若い女教師がやって来る。時刻は丁度9時だった。最初は新しい教師に不信と反感を抱いていた子供たちも、歌やゲームを通じて次第に女教師と打ち解けていく。

「国旗への忠誠の誓い」を巡る一連のやり取りの中で、女教師は子供たちが誰ひとりとして「忠誠」という言葉の意味を理解していないことを指摘する。さらに女教師は、愛国心に国旗は不要であることを子供たちに教え、国旗をはさみで切り刻んで子供たちに配る。さらには旗竿だけとなった国旗を、子供たちに学校の窓から投げ捨てさせた。

自分の父親が連れ去られたことで新任の教師に反感を抱いていたジョニーが不満をぶちまけると、女教師は「ジョニーの父親は『間違った考え』を抱いていたために大人のための学校へ行っているのだ」と教え諭す。「間違った考え」を直すことは良いことだ、という女教師の意見に反論できず、ジョニーは釈然としないながらも引き下がる。

次に女教師は「キャンディーが欲しい」と神様の代わりに自分達の指導者に祈るようにと子供たちに試させる。ジョニーはみんなが目を閉じている隙に女教師がキャンディーを配ったことに気付き、彼女を難詰するが、女教師は逆にジョニーの機智を褒め称え、キャンディーをくれるのは神ではない誰かであり、神に祈っても結局は無意味であることを子供たちに教える。

この頃には、子供たちのあいだに女教師と彼女の言うことを受け入れる雰囲気が広まっており、最後まで抗っていたジョニーも、女教師の言葉はどれも真実であると考え、彼女の言うことを聞いてよく勉強し、「間違った考え」を抱かないようになろうと決める。

　自分の教えた思想を子供たちがほぼ受け入れた事に満足した女教師が時計を見ると、時刻は9時23分であった（Wikipediaより）

　クラベルの娘がアメリカの学校に通っている時、「国旗に忠誠を誓うのよ」といって手を出してきました。どうやら教師が忠誠の誓いを暗記できたら親が10セントくれると学校で教えているようで、「忠誠」の意味について娘に尋ねてみると全く意味がわかっていなかった。子供の考えや思想は大人によって簡単に誘導できるという危惧をもった事から着想した物語だそうです。　

　「世にも奇妙な物語」という番組で映像化されています。主演は賀来千香子さんで舞台設定が日本に置き換えられていますが、話の流れは原作と同じです。

http://www.youtube.com/watch?v=WahIh7VnGlM

http://www.youtube.com/watch?v=CMOaz7EF7Dc

　この作品の捉え方は人それぞれ様々だと思いますが、北の将軍様の居る某国や赤い教師集団を思い起こす人がいるかも知れません。或いはこのような教育を受けた人が今の政界に多いのかも。決して他人事ではない。ノンフィクションを超えたフィクション。そう思わせる作品です。

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