戦争の経済学
戦争は儲かる。しかし、儲かるには4条件あり、これを満たしていないとゼロ、或いはマイナスになってしまう可能性があるそうです。
・戦争前の経済状態が悪い⇒戦前がデフレならば戦争によってインフレになる
・人的、物理的リソース(供給源)の動員⇒兵隊や兵器の需要が増える
・場所⇒自国内ではやらない。又、自国の経済に影響の出るところではやらない。(原油の輸入先やシーレーンなど)
・資金調達⇒増税か公債、或いは海外の援助
結論から先にいうと、中国がもし尖閣諸島で日本と戦っても経済的なメリットはありません。
中国の景気は確かに悪いのですが、その悪いのはインフレだから、上記の条件には当てはまりません。特に地方政府の財政がかなり悪化していて土地投機をしていた担保の土地が値下がり、不良債権化して中央政府の債務が膨らんでいます。中国は失業者が問題ですが、尖閣諸島の場合は兵器は兎も角、人的動員は海上戦なのであまり見込めない。尖閣諸島は中国のシーレーン上にあり、貿易にはプラスになりません。中国はインフレで抑制するために金融引き締めしたくらいなので通貨発行は駄目。公債は地方政府の債務残高がヤバイ。となると海外援助ですが、気になるのはドイツとの急接近。もしかしてドイツが戦費調達に協力するとなると、まあ、ここは一応クリア出来るのですが……。
1,2,3は駄目、4も微妙。よって経済的メリットはない。しかし、中国は一枚岩に見えて国内の中国共産党内部の闘争が激化しているからどう転ぶかは分からない。本格的な戦争を伴わない紛争以上戦争未満の状態をダラダラと続けて国民の不満を愛国心で逸らす、という状況になるのではないかというお話です。
『尖閣の戦争経済学②』上念司・倉山満 AJER2012.10.2(2)
http://www.youtube.com/watch?v=arZUoVEe37s&feature=relmfu