移民問題とAI問題③
敗戦後、大東亜戦争を生き抜いて帰ってきた大正世代は休む暇もなく働いた。というより休んでいる暇さえなかった。彼らは銃剣をペンに軍帽を山高帽に衣替えしてドルを稼ぐ宿命に置かれた。それは円では中東が原油を売ってくれない。二度と再び絶対に浮上しない日本の円は一切信用がなかった。ドルを稼がなければならない。それが百田氏の書いた「海賊と呼ばれた男」出光興産、出光佐三物語である。
大正世代は大東亜で5人に1人、敗戦間近に4人に1人が戦死した。40人のクラスで10人が戦死している計算になるが従って超少数世代で、その超少数の大正世代が神武、岩戸、いざなぎ景気の三大景気を起こした。神武景気は1954から1957までの3年、岩戸景気は1958から1961までの3年。いざなぎ景気は1965から1970までの5年で通算11年、平均成長率は驚異の11.3%だった。
これを現代版にすれば2017年の実質GDP533兆が年率11.3%成長で11年連続だから1730兆円となる。何故こうした奇跡が起きたのか、それは大正世代が超少数世代にあるにもかかわらず優秀だったこと、そして人手不足を移民ではなく工場生産のオートメイションシステムで補ったからである。少人数でも大コスト安の大量生産が可能となり上がった利益は大いに還元され1960年代に入ってカー、クーラー、カラーテレビの3Cブームが発生、 大いに消費したので好景気の循環が巻き起こった。そして今、再びそうした好機が起こる季節に安陪政権は逆噴射している。2018年英のオックスフォード大学と三菱総研が未来予測して12年後、2030年代に入るとあらゆる職業の50%がAIに取って代わるといい。最近ではいや3年後に人手不足はなくなっているという未来学者も現れた。
つまり人手不足だからこそ設備投資や人材投資による生産性向上が起き、社員一人あたりの給料が上昇していくのである。これからは従来のオフイス・オートメーション(OA)FAX、PC、メール、インターネットにAI(人工知能)、ブロックチェーン(ビットコイン)が加わりどんどん人手はいらなくなる。
従って移民とAIは表裏一体、不離一体の問題関係にある。だが安倍政権はその潮流の逆方向に舵をとっている。