お笑いブームは終わらない
吉本興業という会社があります。約800人のお笑い芸人を持ち、世に送り出しています。古くは西川きよし、横山やすしさん、今では明石屋さんま、紳助さんでしょうか。
吉本は1948年に創業されました。1945が終戦ですから、その三年後で日本最古の芸能プロダクションです。まだまだ苦しい時期で人々は笑いを求めていた。そこでお笑いが当たるとおもったのではないでそうか。上方落語という言葉があるので、大阪にも落語は古くからあった筈です。落語の紀元は室町時代にあったと記憶しています。上方落語は机があって 江戸落語にはありません。
さて、落語というと江戸落語の方が有名でしょうか。古典というのは噺を聞く前から内容は知っています。それを改めて聞くのに対し、吉本のタレント達はハプニングで笑いを取っています。ハプニングは一人で起こせないので、雛壇に面白い人を集めて次から次へと丁々発止で噺を膨らませていく。そうすると海上の客の笑い声でテレビの前の人も笑ってしまう。何が起こるか分からないのが主流になり、その反動で落語家がテレビに出る機会が減っているのだと思います。
お笑いブームは不景気の時に起きるという定説があります。ツービート、紳助竜助、やすきよ、B&Bが世に出た頃は漫才師が少なくて、どこへいっても同じような顔ぶれでしたが、今は新旧交代が目まぐるしく、当時の10倍近くもいるようです。NSCというお笑いタレント養成スクールでは4月に入学した人が800人で11月現在では600人に減っています。吉本は大いに儲かるでしょうが、熾烈な戦いが続いています。
ところが、それを言ってテレビで暗い顔をすると笑いがとれません。どんなに苦しくても笑いをとる事を一番に考えるので、最早、売れていない事をネタにしてまで笑いを取ることに必死です。当然、子供達に与える影響は大きいでしょう。その実態を知らせないと、それに敗れた時も人生は続く訳で、そういった光と影を認識しておく機会だと思いました。
Media is message メディア イズ メッセージメッセージで、誰もが出来そうな事というのは案外難しいもので、故・森繁久弥さんが「極めるというのは頂上に登り詰めるようなもので、大体どの業界でも5人くらいしか思い浮かばない」と言っていましたた。今後もお笑い芸人は大変になっていくと思います。お笑いブームは終わる終わると言われながら、今は最長で続いています。それだけ不況が続いているという事もありますが、景気が良くなってきてお笑いタレントを必要としなくなれば、不景気のときに起きるという説は認められるかも知れません。